アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は乳幼児期の発症が多い疾患です。小児期のうちに寛解する場合もありますが、成長後にも症状が続く方もいます。とはいえ、小学校低学年より中学生の方が有病率は低く、重症度が下がる傾向も見られます。ぜひ悲観せずに当院にご相談ください。
こんな症状はありませんか?
【乳児~幼児】
- 顔や頭、耳に湿疹が出る
- 赤くてジクジクした湿疹
- 耳の付け根が切れている
- おむつ湿疹
【幼児~児童】
- 皮膚全体が乾燥する
- 湿疹がひじ膝・背中などにも広がる
- 左右対称の湿疹が出る
【思春期~成人】
- 湿疹などの症状が慢性化する
- 全身に湿疹が広がる
- 皮膚が分厚くなる
- 皮膚が赤褐色になっている
アトピーの原因

アトピー性皮膚炎の原因としては、体質的アレルギー素因や、バリア機能が低下して皮膚や臓器が過敏な状態にあることなどが考えられます。
アレルギー素因とは、家族にアレルギー性疾患が見られることや、IgE抗体ができやすい体質であることを指します。
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因
皮膚の保湿機能が低下した状態で外部から刺激を受けると、刺激の影響が皮膚の奥にもおよぶので、免疫が過剰に反応することでアトピー性皮膚炎が発症すると考えられています。また、化学物質や紫外線、物理的刺激や汗、ハウスダストやカビ、ダニなどのほか、疲労や睡眠不足、ストレスなどがあると悪化しがちです。
当院での治療
当院では、①悪化因子から遠ざかること、②スキンケア療法、③薬物療法を行っています。
また、デュピクセントによる治療も実施しています。
患者様の症状に合わせて治療方法をご提案し、症状の緩和を目指して一緒に歩んでいきます。
1悪化因子から遠ざかる

アトピー性皮膚炎の悪化因子としては、環境アレルゲン(花粉やハウスダスト、ペットの毛やダニなど)と、接触アレルギー(身につける金属や化粧品など)があげられます。
また、汗や唾液、衣類の摩擦や毛髪、紫外線なども皮膚に刺激を与えるので悪化の要因になりがちです。
当院ではそれぞれの要因に対するアドバイスができます。原因の除去や回避について、一緒に取り組んでいきましょう。
悪化因子として考えられるもの
【環境要因】
- ダニ
- ハウスダスト
- カビ
【皮膚への刺激】
- 髪の毛、ふとんや衣類などの繊維類
- 石鹸や香水などの化粧品類
- 汗や唾液などの分泌物
【季節の要因】
- 冬:空気が乾燥して肌も乾燥する
- 夏:汗などが刺激になり、かゆくなる
2スキンケア療法

アトピー性皮膚炎の治療においては、スキンケアで皮膚のバリア機能を守ることと、保湿によって乾燥を防ぐことも重要です。また、いったん状態が良くなっても再度悪化することが多いので、状態が良いときのケアも欠かせません。スキンケアの基本は、皮膚の清潔さとうるおいを保ち、バリア機能を正常に維持することです。
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清潔(皮膚を清潔に保つ)
皮膚のバリア機能が低いときや、ひっかき傷があるときなどは黄色ブドウ球菌が皮膚の内部に侵入しやすくなります。そのため清潔で菌が少ない状態を維持しましょう。
入浴の際は、皮膚バリア機能回復を守るためにお湯は38~40度が適温だといわれています。また、肌をゴシゴシと擦って洗ったり、長風呂をするのは避けるようにしましょう。 -
保湿(皮膚の潤いを保つ)
人間の皮膚は、健康な状態であればバリア機能によって乾燥を防いでいますし、外部からの刺激も緩和することができます。しかし、皮膚のうるおいを維持する成分(皮脂や角質細胞間脂質、天然保湿因子など)が不足すると、肌の乾燥が始まります。すると角層がはがれてすき間が発生し、水分の蒸発量が増える上に外部からの刺激にも弱くなります。この状態でも保湿剤を使うことで、皮膚の表面にフタをして水分の蒸発を予防できます。
3薬物療法

アトピー性皮膚炎においては、炎症によって皮膚のバリア機能はさらに低下しますし、搔くことでさらに炎症が増えます。
薬物療法の目的は、上記の悪循環を断ち切るために、かゆみと炎症を抑えることです。
ステロイド外用薬は炎症を抑えるので悪循環を止めることに役立ちますが、その一方で皮膚が薄くなる作用があります。また、毛細血管が広がって赤みが目立つこともあります。
4デュピクセント
デュピクセントは、「かゆみ」「炎症」「皮膚のバリア機能低下」という3つの要素に作用する薬剤です。アトピー性皮膚炎においては、「かゆみ」「炎症」「皮膚のバリア機能低下」の3要素が絡み合って悪循環を起こします。そのため、個々の要素ではなく、3要素のすべてに働きかけることには大きな意味があります。
当院では、今までの治療で寛解できなかった成人の方にデュピクセントによる治療を提案しています。
投与に注意が必要な場合
- デュピクセントに含まれている成分に対し、アレルギー反応を起こしたことがある場合
- 寄生虫に感染している、感染している可能性がある場合
- 生ワクチンを接種する予定がある場合
- 妊娠している、またはしている可能性がある場合
- ご高齢の方の場合
- 喘息などのアレルギー性疾患がある場合
料金について
デュピクセントは治療効果が高いお薬ですが、治療費が安いとは言えません。
10割負担であれば1本66,356円、健康保険適用でも1割負担の方で6,636円、3割負担の方で19,907円です。
また、初回は2本投与しますので、1割負担の方は13,272円、3割負担の方は39,814円が必要です。
負担が難しいと思う方は、医療費補助制度をご活用ください。